すべての人が生きやすい社会に。
アートの力でチャレンジし続けたい。
留学時代、ものづくりに夢中な日々は、毎日が楽しくて幸せでたまりませんでした。
何かを生み出す喜び!そしてアートを媒体に誰とでもどこの国の人とでも、
障がいのある無しや政治・宗教の違いも超えてさらりとつながり、
共に美しさや感動を分かち合える喜び!
この大きな喜びは自分だけでとても抱えきれず、みんなに伝えたい!
シェアしたい!と心から思いました。
それが自分のアート活動の出発点だったと思います。
この時代は一方で、ベトナム帰還兵や人種差別、同性愛者、障がい者など
様々な問題を抱えた人々とも出会い、アートが心のリハビリや救い、
そして希望になることを知りました。
そしてこれを様々な現場で活用したいと考えるようになりました。
帰国後はギャラリーや美術館などアートの現場で経験を重ねる中で、
子どもの育成や障がい児者といった様々な問題にも直面し、
アートが少しでも問題を緩和し、解決への一歩となることを願い努力してきました。
独立後は病院をはじめとする医療施設の環境改善や心のケアに向き合う
ホスピタルアート活動を更に展開させ、 東日本大震災後は被災地で
アートを媒体にした応援活動を行うに至りました。
つくることは無から何かを生み出すことであり、
生み出すことは一歩踏み出すことです。つくることは心のリハビリであり、
自分の気持ちと折り合いをつけていく作業であります。
つくることは時に祈りであり、救いであり、喜びであり、願いであり、
心を昇華させる作業であり、生きることそのものでもあります。
これからも、それを必要としている場へはこび、
共に喜びを享受し合える人々の元へ赴き、バリアフリーなアートの力で
一歩ずつ社会を動かしていけることを願い、活動していきたいと思います。
PROFILE
高橋雅子
ホスピタルアーティスト
Wonder Art Production・Hospital Art Lab・ARTS for HOPE代表
米国州立Western Michigan University 芸術学部卒。
アメリカ現代美術のギャラリーを経て、美術館Petit Museeのシニアキュレーターに。美術展覧会の企画やワークショップ、
美術館運営に携る。1999年にWonder Art Production、2004年にHospital Art Labを設立。展覧会オーガナイザーとして
世界のアートを紹介するほか、美術館や博物館における子どもの情操教育プログラム、医療現場や地域社会をステージにした
さまざまなアートプロジェクトをプロデュースし、現場でのナビゲーターもつとめる。
病院に温かさを運ぶホスピタルアート活動は、全国と世界の病院100か所で500回以上。代表的プロジェクトである“Happy Doll Project” で
「2013年度子どもたちのこころを育む活動優秀賞」受賞(公益財団法人パナソニック教育財団)。
東日本大震災直後の2011年3月20日に緊急支援チームARTS for HOPEを発足させ、東北と熊本の応援活動も続ける。
2017年4月、障がいの有無を超えた子どもたちのアトリエ「ワンダーアートスタジオ」を仙台にオープン。