Happy Doll Project 2007-2008

​

自分の手でつくり上げたときの小さな喜び。

ほのぼのとした充足感。

そして時には涙を誘い、

大きな感動につながることもある。

 

脳梗塞の後遺症で、神経や筋肉、言語障害も伴う男性患者は

思い通りに動かない自分の手ではもう、

何もできないとあきらめていた。

 

リハビリ兼ねて一緒につくろうと誘うと

しぶしぶ同意。

一緒に手を握って布を切って、

ホチキスで留めて、綿を入れて・・・。

 

少しずつ、ゆっくり、一歩ずつ。

 

始めは硬直して動かなかった彼の手に

次第に力が入るようになり、

最後は私の手が添え物に回り、

彼の手が作業をしていた。

 

「すごい！できたじゃないの！良かったね～。」

と奥さんが声をかけると

その患者さんはふいに、ぽろぽろ涙を流した。

 

つくった！つくれた！というささやかな1歩は、

今後の可能性に向けた、

想像以上に大きな1歩だったのである。

​